他の歯もやられている
入歯になる原因の多くは歯周病、歯槽膿漏など歯茎の病気によるものです。歯の根元、歯茎との境目にばい菌の塊である歯垢が付着します。ばい菌が歯と歯茎の狭い隙間に少しずつ入り込んでいきます。何年もかかって、歯茎の中で歯根を支えている歯槽骨は溶けていきます。歯はやがて支えを失い、グラグラになって最後には抜けてしまうというわけです。歯周病のタチの悪い点は、自覚症状がほとんどない事だと言えます。あったとしても多少の出血がある程度です。歯肉が腫れ、膿の独特な嫌な臭いがします。しかし、そんな自分の口臭に自分では気づけない人が多い。この段階で「私歯周病なんです、治してください」と歯科医のもとを訪れる人はごく少ないのです。そのうちに歯茎が腫れ、痛みを感じるようになってきます。でも数日すれば自然に腫れが引き、痛みも消えてしまう為、歯槽膿漏に1歩1歩近づいている事に気づかず、平気な顔をしている方が多いのです。そして、気づいた頃には歯がグラグラしているのです。漸く「まずい!」と焦り始めるものの、こうなっては多くの場合手遅れとなります。歯を支える歯槽骨が酷く吸収されていると、助けようがないのです。骨が溶けてしまい、吸収されてしまっているのだから、1本の歯がグラグラしていると気づいた時には、たいていは残りのどの歯も多かれ少なかれ骨の支えを失ってしまっているのです。歯茎が腫れてしまっている事で外から見るだけでは気づかないが、レントゲンを撮ってみると、歯茎の中で歯槽骨が全面的に後退しどの歯根も骨から飛び出しかけていたりします。1本抜けた後は、短い期間で次々に歯が抜けていき、何年あるいは何か月と経たないうちに、あっという間に総入歯になってしまうという事も無きにしも非ずです。歯周病の恐ろしさを分かって頂けたでしょうか。なんとなく曖昧に「危ない病気だ」という認識でいるのではなく、どうする事でどうなってしまうのかという部分まで理解してもらいたいと切に願います。